ニジンスキーやパブロワ、ヴィシニョーワ、ルジマートフなど
数えきれないほどのスターダンサーを生み出す世界最高峰のバレエ・アカデミー!
このアカデミーの現役教師が来日し、日本の子どもたちを指導します。
25年以上続いている伝統と信頼のバレエ・レッスン。
2019年夏も開催決定!!
ピアニスト&日本語通訳付き
このレッスンの大きな特色の1つに、バレエピアニストによる演奏付きということが挙げられます。
ワガノワ・バレエ・アカデミーでは、レッスンの際には必ずバレエピアニストがレッスンの動きに合わせてピアノ演奏をします。音楽はバレエという総合芸術にとって、ダンサーと同等の重要なポジションに位置しており、ダンサーは音楽との完璧な調和を求められるからです。そのため、本来バレエ・レッスンにおいて、教師の要求を即時に音楽に反映させることが出来、踊りのニュアンスによって選曲するための豊かなレパートリーを持つバレエピアニストは生徒にとって欠かせないパートナーなのです。
バレエピアニストはダンサーが実力を最大限に発揮出来るような演奏を学んだ専門職です。日本のバレエ教室では、現実的になかなかバレエピアニスト付きの教室というのは数が少ないため、バレエピアニストの演奏に合わせたレッスンの出来る、この特別レッスンは非常に有意義なものであることは間違いありません。
その内容の質の高さから、1992年以降、25年間以上にわたり毎年各地で開催され、高い評価を得ています。これまでに約20,000名の受講者を数えており、会場によっては受講希望者数が定員を超え、抽選を行うところもあります。毎年受講する子どもたちも数多くいる信頼出来るレッスンです。
1996年7月からは「ワガノワ・バレエ・アカデミー留学生オーディション」(栃木県主催)も毎年行われ、これまでに120名以上が同アカデミーへ留学を果たしています。このオーディションから留学を果たし、2013年、ロシアのマリインスキー劇場に日本人で初めて入団した石井久美子さんのニュースなどから、日本でも「ワガノワ・バレエ・アカデミー」の名前が有名になりました。留学生の多くも、このレッスンを受講しています。
ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーの常時パートナーであるアルス東京が主催するプロジェクト、ワーク・ショップへの参加者の皆様を心より歓迎いたします。
2019年1月皆様は、アルス東京主催で成功裡に実施されたロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーの公演をご覧になる機会があったと思います。ワガノワの教師及びピアニストが参加する今年夏のワーク・ショップも大成功を収めると確信しております。
我々は舞踊分野での教育プロジェクトおよびワガノワ・メソッドをバレエ学校からの許可なしに提供することは出来ません。ですから日本のバレエ学校で学ぶ生徒の皆さまにとって、このワガノワ・バレエ・アカデミー教師及びピアニストが指導するこのワーク・ショップ実施は、大変重要な象徴的な機会であると考えます。
ワーク・ショップ参加者の皆様を心より歓迎するとともに、主催者であるアルス東京に対し、ご協力を感謝いたします。皆様に新たな経験と友好をより深めて頂くことを願っております!
2019年3月
ニコライ・ツィスカリーゼ
ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー校長
ロシア人民芸術家, 国家勲章受章者
※こちらの会場は公益財団法人川口総合文化センターとの共催事業のため、他会場と受講料の設定が異なります。
※ヴァリエーションクラスの受講希望の方は、ジュニアCクラスとのセット受講をお勧めします。必ず「クラス説明」をお読みの上、お申し込みください。
※ヴァリエーションクラスの受講希望の方は、特別少人数Bクラスとのセット受講をお勧めします。
必ず「クラス説明」をお読みの上、お申し込みください。
<セットで受講の場合、最終日に特典が付きます!>
最終日(8/8)のヴァリエーションクラス終了後、一人5分間、マンツーマンで先生からの指導を受けられる「アドバイスタイム」が付きます。2レッスン×4日間の中で、先生が個人に合わせたアドバイスをします。
(順番は初日に抽選となります。レッスン着の状態で、実際に動きながらの指導です)
※こちらの会場は広さに合わせた定員設定となっております。
現在配布している紙媒体の募集要項チラシに間違った表記がございました。
謹んでお詫びを申し上げるとともに下記の通り訂正をさせていただきます。
<誤> 特別少人数B:29,000円(3日間)
<正> 特別少人数A:29,000円(3日間)
※<①5日間コース>は②+③(ジュニア+特別少人数[12名]/ジュニアB+ヴァリエーションA[15名])
※ヴァリエーションクラスの受講希望の方は、必ず「クラス説明」をお読みの上、お申し込みください。
レッスン日程(ワガノワ・バレエ・アカデミー教師による特別レッスン 2019)
ユリア・カセンコーワ(Yulia Kasenkova)
1975年4月生まれ。
1993年ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業。
1993年マリインスキー劇場バレエに入団。2014年までソリストとして活躍。「コッペリア」、「くるみ割り人形」、「ジゼル」、「バヤデルカ」、「海賊」、「パキータ」、「ドン・キホーテ」、「ロメオとジュリエット」、「シンデレラ」などの作品のソロパートを踊る。マリインスキー劇場バレエのメンバーとして、ドイツ、オランダ、ギリシャ、イタリア、アメリカ、フランス、イギリスなどのツアーに参加。
2010年ワガノワ教育学部を卒業。教師とバレエマスターの資格を取得。2010年から2013年まではミハイロフスキー劇場のソリストの指導者としても活躍。2013年-2014年ワガノワ留学生の指導を担当。2014年からはワガノワ上級クラスの教師として活躍している。
【ピアニスト】イリーナ・ツァレグラドスカヤ(Irina Tsaregradskaya)
1958年レニングラードに生まれる。1981年レニングラード国立リムスキー=コルサコフ記念音楽院卒業後、ワガノワ・バレエ・アカデミーのコンサートマスター(ピアノ伴奏者)になる。
その後、現在まで中級、上級クラスのクラシック・バレエ、キャラクター、歴史社交ダンスのコンサートマスターとして活躍するとともに、リハーサルのコンサートマスターも務めている。
【教師】ビクトリア・オメルニツカヤ(Viktoriia Omelnitskaia)
1981年生まれ。
1999年ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業。
1999年マリインスキー劇場バレエに入団。「ドン・キホーテ」「ライモンダ」「白鳥の湖」「ロミオとジュリエット」など数多くの古典作品、およびラトマンスキーやバランシン、フォーキン、フォーサイスなどの振付家の作品にも出演。
2009年からはミハイロフスキー劇場で活躍。「ジゼル」「眠れる森の美女」「ライモンダ」「スパルタクス」「白鳥の湖」などを踊る。
2018年ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー教育学部にてバレエマスター資格を取得。同年よりワガノワのクラシッククラスの教師として活躍している。
ユリア サフローノワ(Iuliia Safronova)
1982年7月、エストニア・タリンに生まれる。2002年ムソルグスキー記念サンクトペテルブルグ音楽学校卒業後、2002年~2009年ワガノワ・バレエ・アカデミーの音楽教育学部に勉強し、バレエのピアノ伴奏者)になる。
2003年よりワガノワ・バレエ・アカデミーのピアニストとして、クラシックバレエ、パ・ド・ドゥ、キャラクターダンスにて活躍している。
※教師、ピアニストは都合により変更になる場合があります。ご了承下さい。
※ジュニアA:床でのストレッチ、バーレッスンなど60分間
※ヴァリエーション:センターレッスン90分間
※上記2クラス以外:バーレッスンとセンターレッスン90分間
ヴァリエーションA:
『ジゼル』第一幕よりぺザントのヴァリエーション
『ドン・キホーテ』よりキューピッドのヴァリエーション
ヴァリエーションB:
『ドン・キホーテ』第三幕よりキトリのヴァリエーション *扇子をご持参ください
『海賊』花園よりメドーラのヴァリエーション
※ヴァリエーションクラスはセンターレッスンから始まります。必ず、ご自身でウォーミングアップをしたうえでご参加ください。
13:30~14:30の間に会場でのウォーミングアップが可能です。
※参加者のレベルに合わせ、変更になる場合もあります。
※ヴァリエーションクラスはセンターレッスンから始まります。必ず、ご自身でウォーミングアップをしたうえでご参加ください。
13:30~14:30の間に会場でのウォーミングアップが可能です。
※参加者のレベルに合わせ、変更になる場合もあります。
レオタード(なるべく肩と背中の開いているもの)
レッスン・シューズ
トゥ・シューズ
タオル(汗拭き)
バスタオル(ストレッチ用/ジュニアA受講の方のみ)
扇子(ヴァリエーションB受講の方のみ)
※ジュニアAクラスでは、トゥ・シューズは必要ありません。
※トゥ・シューズを所属バレエ教室から許可されていない方は、トゥ・シューズは必要ありません。その場合、トゥ・シューズを履いてのレッスンの際には、レッスン・シューズで同じ動きをしていただきます。
全国日程(ワガノワ・バレエ・アカデミー教師による特別レッスン 2019)
Aグループ | Bグループ | ||
---|---|---|---|
7月13日 | 土 | ||
7月14日 | 日 | ||
7月15日 | 月 | ||
7月16日 | 火 | ||
7月17日 | 水 | 名古屋市(愛知) 会場:愛知県芸術劇場 主催:アルス東京 |
|
7月18日 | 木 | 川口市(埼玉) 会場:川口総合文化センター リリア 共催:公益財団法人川口総合文化センター お問合せ:048-258-2000 URL https://www.lilia.or.jp/ |
|
7月19日 | 金 | ||
7月20日 | 土 | 福岡市(福岡) 会場:福岡特設会場(三ノ上万由美バレエスタジオ) 主催:アルス東京 |
|
7月21日 | 日 | ||
7月22日 | 月 | 足立区(東京) 会場:THEATRE1010 主催:アルス東京 |
|
7月23日 | 火 | ||
7月24日 | 水 | ||
7月25日 | 木 | 三島市(静岡) 会場:三島市民文化会館 共催:三島市民文化会館 お問合せ:055-976-4455 URL http://www.mishima-youyouhall.com/task/130/ |
|
7月26日 | 金 | ||
7月27日 | 土 | 東大阪市(大阪) 会場:Garage Art Space 主催:アルス東京 |
|
7月28日 | 日 | ||
7月29日 | 月 | 横浜市(神奈川) 会場:THE HALL YOKOHAMA 主催:アルス東京 |
|
7月30日 | 火 | ||
7月31日 | 水 | 栗東市(滋賀) 会場:栗東芸術文化会館さきら 共催:栗東芸術文化会館さきら 企画制作:トールツリー(株式会社ケイミックスパブリックビジネス) お問合せ:077-551-1455(9:00~22:00/月曜休館・祝日は開館) URL https://www.sakira-ritto.net/organize/detail.html?id=3149 |
|
8月1日 | 木 | ||
8月2日 | 金 | 目黒区(東京) 会場:ノアスタジオ都立大 主催:アルス東京 |
|
8月3日 | 土 | ||
8月4日 | 日 | ||
8月5日 | 月 | ||
8月6日 | 火 | ||
8月7日 | 水 | ||
8月8日 | 木 | ||
8月9日 | 金 | ||
8月10日 | 土 | ||
8月11日 | 日 | 横浜市(神奈川) 会場:横浜市神奈川区民文化センター かなっくホール 共催:横浜市神奈川区民文化センターかなっくホール指定管理者 お問合せ:045-440-1219 URL http://kanack-hall.info/ |
|
8月12日 | 月 | ||
8月13日 | 火 | ||
8月14日 | 水 | ||
8月15日 | 木 |
Application
お申込み方法
第二次募集の募集予定クラスは下記の通りです。
・やむを得ないキャンセルにつき、第一次募集期間で抽選となったクラスの募集も一部ございます。
・★印のクラスは若干名の募集となります。
川口総合文化センター
・ジュニアB受付終了
・ジュニアC受付終了
THEATRE1010
・ジュニアC ★受付終了
・ジュニアC ★受付終了
・ジュニアC+ヴァリエーションA受付終了
THE HALL YOKOHAMA
・ジュニアB受付終了
・ジュニアC受付終了
ノアスタジオ都立大
・ジュニアA ★受付終了
・ジュニアB ★受付終了
・特別少人数A ★受付終了
・ヴァリエーションB
・アドバンス ★受付終了
・特別少人数B+ヴァリエーションB ★受付終了
・大人(シニア)クラス
かなっくホール
・ジュニアC ★受付終了
・特別少人数A ★受付終了
愛知県芸術劇場
・ジュニアB ★受付終了
・ジュニアC ★受付終了
・大人(シニア)クラス ★受付終了
福岡特設会場
・ジュニアA受付終了
・ジュニアB受付終了
・ヴァリエーション受付終了
・ジュニアB+ヴァリエーション受付終了
Garage Art Space
・ジュニアB1
・ジュニアB2
・ジュニアC
第一次募集は終了致しました。
第二次募集は6月17日(月)9時より先着順で開始致します。
募集受付可能クラスに関しては6月14日(金)に弊社HP・各種にて公開致します。
HPからのお申込みを推奨しております。
※紙媒体の申込書ご希望の場合、下記よりダウンロードもしくは、下記アルス東京までご連絡ください。申込書をご郵送いたします。
※第一次募集期間内でお申込み多数の場合は募集期間終了後、抽選を行い、6月6日~7日中にメールにて全員に結果を通知します。先着順ではありません。第一次募集で定員に満たなかった場合のみ、第二次募集を行います。第二次募集の実施の有無については、6月14日以降にHPをご覧いただくか、アルス東京までお問い合わせください。
【川口市・足立区・横浜市・目黒区・名古屋市・東大阪市が第一希望の方】
FAX:03-3580-0978
郵送:〒105-0003 東京都港区西新橋2-4-9 南桜ビルアネックスⅠ
アルス東京 ワガノワ・ワークショップ係
※かなっくホールのみ(045-440-1211)にて直接受付もしております。
【福岡市が第一希望の方】
FAX:092-736-7081
郵送:〒812-0023 福岡県福岡市中央区警固2-2-23 ウィングコート警固503
エムアンドエム ワガノワ・ワークショップ係
申込み期間
第一次募集:5月17日(金)9時~5月31日(金)12時必着
第二次募集:上記該当クラスのみ、随時受付中
※二次募集は予告なく終了する場合がございます。お早めにお申込みください。
※第二次受付は、第一次受付で定員に満たなかった場合のみ実施。
①ご応募多数により抽選が決まったクラスに関しましては、複数クラスお申込みいただいた方から優先的にご案内いたします。
②受講料は事前にお振込みいただきます。
③受講料は全て税込みです。
〈キャンセルポリシー〉
・受付期間内であれば、キャンセルを受け付けます。お申込み後に、キャンセルされる場合は、アルス東京までご連絡ください。
・受付期間以降のキャンセルは原則として受け付けません。やむを得ない理由により、お申込みのクラスをキャンセルされる場合は、弊社キャンセルポリシーに基づきキャンセル料が発生いたします。その場合、以下の証明書などを弊社にご提出いただきます。(結果通知前でも同様とさせていただきます)
・自己都合によるクラス変更も申し込み受付期間以降は、キャンセル扱いとなります。
ご提出が必要な書類
怪我・病気の場合:医師の診断書(コピー可)
学校の行事などの場合:学校発行のスケジュールがわかるもの。ご本人様が参加されることがわかるもの。
キャンセル料
怪我・病気・学校の行事などのやむを得ない理由以外(上記の書類をご提出いただけない場合)
*受講料の100%
上記の書類をご提出いただいた上で
*受付期間〆切後~開催日の8日前まで:受講料の50%
*7日前~開催日の前日まで:受講料の90%
*当日キャンセル:受講料の100%
エムアンドエム
TEL:092-751-8257(平日:10:00~18:00)
E-mail:info@m-m21.com
※かなっくホール以外の直接会場への、内容に関するお問合せはご遠慮ください。
主催:アルス東京
共催:横浜市神奈川区民文化センター かなっくホール(横浜市会場のみ)
公益財団法人 川口総合文化センター(川口市会場のみ)
協力:エムアンドエム(福岡市会場のみ)/ 新書館クララ
お申込みいただいたすべてのコースに当選された場合、必ず、全コースのレッスンを受講してください。
キャンセルはお受けできません。
タチアナ・ゴロヴィナ(ワガノワ・バレエ・アカデミー副校長)
◆「バレエ」とは◆
踊りと音楽によってドラマを語る芸術がバレエです。バレエは「イタリアに生まれ、フランスで育ち、ロシアで成人した」といわれるように、国を超え、さまざまな振付家、ダンサー、作曲家のもとで発展を続け、今日に至っています。
舞台芸術は古代ギリシャ、ローマから始まります。当時作られた手の動き「マイム」は、現代まで伝わるバレエの動きに数多く残っています。
バレエはルネサンス期のイタリアにおける貴族の宴での踊りから始まり、フランスに渡り、ルイ14世治下で発展し、ロシアのプティパのもとでクラシック・バレエとして完成しました。
「バレエ」の語源(フランス語のBallet、ラテン語のBallo "踊る")は、16世紀のフランスで生まれたものです。
「冬の宮殿」内に作られたロシア最初のバレエ学校
「パ・ド・カトル」 有名なロマンティック・バレエの作品
◆イタリアでのバレエの誕生からフランスでのバレエの確立◆
ルネサンス期のイタリアでは、富裕な貴族がしばしば豪勢な宴を催していました。そこで貴族たち自身によって披露された踊りがバレエの原型です。その後メディチ家の娘とフランス王との結婚を契機に、バレエはフランス宮廷へ持ち込まれました。フランス宮廷ではこの初期のバレエが盛んに行われ、ルイ14世の時代には、ルイ14世自身がダンサーとしてバレエを楽しんだほどでした。これにより、今現在の基本が出来上がったといわれています。
その後貴族一般の娯楽から徐々に専門的要素が強くなり、1661年に王立音楽アカデミーが創られ、1713年にはオペラ座バレエ学校も設立されました。19世紀にはバレエが大いに発展し、技術の進歩とともに、ポアント(つま先で立つこと)の技術も発展しました。この19世紀には、ロマン主義的バレエという意味の“ロマンティック・バレエ”が発展しました。特徴としては超自然的な存在である妖精や魔女などがよく登場すること、異国の物語を扱っていることでした。
これらのロマンティック・バレエは、すべてパリ・オペラ座を中心として発展し、代表作である「ラ・シルフィード」「ジゼル」「パキータ」などは今日でもよく上演されます。
その後ロマンティック・バレエはロマン主義の衰退とともにパリでは影をひそめますが、ロシアへ渡ったことで、独自の発展を遂げることになります。
◆ロシア・バレエの誕生とその歴史◆
17世紀にロシアは経済的、政治的、文化的に発展を遂げ、西洋の国々もロシアと関係を持つことを望んでいました。ロシアにとってヨーロッパのバレエ公演の豪華さはとても魅力的でした。1673年、アレクセイ皇帝(ピョートル大帝の父)がバレエに大きな興味を示し、ヨーロッパのバレエを真似て、ロシア最初のバレエ公演は上演されたといわれています。
そして、サンクトペテルブルクという偉大な都市を作り上げたピョートル大帝は、ロシアにヨーロッパ文化を迎えるための手段の一つとして、バレエに大変興味を持ち、当時まだ独立した芸術ではなかったバレエを、大きな存在として確立することを考えました。
1734年、サンクトペテルブルクに、貴族のための初等学校のバレエ教師として、ジャン=バティスト・ランデがフランスより招待されました。彼は舞踊の教え方がとても上手く、数年間踊りを学んだ少年たちは、プロに近い踊りの技術を身につけていきました。
ジャン=バティスト・ランデ
イワン・ヴァーリベリヒ
◆舞踊学校の誕生◆
1737年、ランデは女帝アンナ・イワーノワに対して、舞踊学校設立の嘆願書を出し、1738年に許可が下り、ロシア最初のバレエ学校が設立されました。(現在のワガノワ・バレエ・アカデミー)
ロシアの子どもたちは外国人教師の元、異国のステップを踏み始めました。1793年にバレエ学校に新しい教育プログラムが導入され、バレエ学校は舞台芸術学校と改名されました。(帝室バレエ学校)
19世紀初め頃までにイタリアとフランスの踊りを融合しながら、ロシア・バレエは徐々に形成されていきます。イタリアの技巧性、ジャンプ、回転、アクロバットの技を取り入れ、また、フランスの滑らかな動きやバチュ(足を打つの意)とピルエットを取り入れました。基本的に外国人教師が指導をしていましたが、ロシア人教師として初めて、イワン・ヴァーリベリヒ(1766-1819)が教師となり、優れたバレリーナを育てました。中でもエフゲーニヤ・コロソワ(1780-1869)は、幅広いレパートリー(オペラとドラマ)を持ち、バレエだけではなく、ロシアの民族舞踊を素晴らしく踊ったことで知られています。クラシック様式を基本とする気高い演技は「コロソワ演技」と呼ばれるほど好評でした。
またヴァーリベリヒは多くの振付も行い、作品も創りました。彼の創作の中には愛国主義をテーマにしたバレエが多く、例えば1812年にナポレオンとの戦争時代のバレエ「祖国に対する愛情」という作品を発表し、センセーションを巻き起こしました。
◆19世紀、可能性の時代 シャルル・ディドロ◆
1801年、バレエ学校は新しい教師を迎えました。シャルル・ディドロ(1766-1837)はストックホルム生まれのフランス人でした。ロシアに来て10年間バレエを教えるとともに、ギリシャ神話をテーマにしたバレエを振付けました。音楽とバレエ振付は一体となり、踊りは重要な表現手段となりました。彼の功績は今日のペテルブルク派といわれる舞踊スタイルの基礎を築いたことです。
教え子の中ではアフドーチャ・イストーミナ(1799-1848)が最も有名で、イストーミナのテクニックは完璧な上に、優雅な動きと自然な体の動き、感情に富んだ高い表現力を持っていました。ロシアの優れた詩人プーシキンは「エフゲニー・オネ―ギン」にイストーミナの名前を登場させるほどでした。このように、イストーミナは「ロマンチシズムの精神に満ちたバレエを舞台に披露する最初のロシア人のバレリーナである」といわれ、彼女の芸術は高く評価されました。
シャルル・ディドロ
◆プティパの時代◆
19世紀前半はロマンティック・バレエ(ジゼル、シルフィード)の時代でしたが、19世紀後半は「プティパの時代」と言っても過言ではありません。マリウス・プティパ(1819-1910)は、生まれはフランス、精神はロシア人とよく言われていました。ロシア・バレエ芸術の栄光はプティパの名前と結ばれています。この偉大なるバレエ・マスター、プティパは46本のオリジナル・バレエを創作し、さらにそれまでに創られた作品を改定し、甦らせました。
この偉大なプティパが振付け、バレエ音楽の最も優れた作曲家の一人とされるピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)により作曲された「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」は昔からロシアの3大バレエと呼ばれ、現在でも世界中の舞台を飾っています。プティパはいわゆるクラシック(アカデミック)バレエの基礎を作ることに大きく貢献しました。ソリストはもちろんのことですが、コール・ド・バレエを重視しました。プティパのバレエでのコール・ド・バレエは、並び方の美しさ、ポーズの多様性や動きの同時性によって観客を驚嘆させました。
プティパと協力し、振付をしたのはレフ・イワノフ(1834-1901)です。イワノフの最大の功績は、ロシア・バレエのシンフォニズム化に大きな役割を果たし、クラシック・バレエの表現力を高めたことです。いつもプティパの影に隠れて、なかなか彼の力は認められませんでしたが、亡くなってから再評価されました。特に「くるみ割り人形」の雪の精の素晴らしさは彼の才能を表しています。
さらに、ロシア・バレエ・アカデミズムの発展に独特な役割を果たしたのはクリスチアン・イオガンソン(1817-1903)です。スウェーデン出身でしたが、長年ロシアに住み、ロシアの生徒にバレエを教えていく中で、ロシアの芸術家としてロシア・バレエ教育のシステムを深く研究しました。また彼は独自にバレエの教授法を確立し、生徒の個性を開かせ、生まれつきの才能を伸ばし、花咲かせるということに貢献しました。
プティパの時代はロシア・バレエがとても豊かな時期でした。
マリウス・プティパ
ピョートル・チャイコフスキー
◆イタリア踊り手の影響◆
その時期、イタリアの技巧的バレエ・ダンサーが次々とサンクトペテルブルクを訪れ、ロシアの踊り方と根本的に違うバレエを披露していきました。この現象はロシア・バレエの発展に重要な刺激を与えました。なぜなら、ロシアのダンサーたちが外国のダンサーに影響を受け、さらなる技術を向上させていったからです。
イタリアの技巧性とロシア・バレエとの架け橋になったのはエンリコ・チェケッティ(1850-1928)でした。チェケッティはダンサーとしてロシアに招待され、その後19世紀末~20世紀初期の教師として多大な力を持っていました。ニコライ・レガットは以下のように書いたことがあります。
「チェケッティは偉大なるダンサーだった。我々の踊りにこんなに大きな刺激を与えてくれたイタリア人にどうお返ししたらいいのだろうか?」
レガットもバレエ学校、バレエ教育の発展に重要な役割を果たしています。デビュー作は「人形の精」でした。
「人形の精」の役を最初に踊ったのはオリガ・プレオブラジェーンスカヤ(1872-1962)です。チェケッティにバレエを学び、大きな成功を収めました。素晴らしいバレリーナというだけではなく、女優の才能もありました。彼女の演技は生き生きしたもので、他と比較できない輝くものでした。90歳という長い人生の最後までバレエを教え、彼女の弟子は今でも世界中のバレエ舞台を飾っています。
プレオブラジェーンスカヤの次のクラスの卒業生はマチルダ・クシェシーンスカヤ(1872-1971)でした。ロシア・バレエの歴史で初めて32回のフェッテをやりとげたことで有名です。とても幅広いレパートリーを持ったクシェシーンスカヤは、ロシアの踊り手として初めてプリマ・バレリーナの称号を受けました。革命後にフランスに亡命し、西洋バレエの発展にも大きく貢献しました。
エンリコ・チェケッティ
オリガ・プレオブラジェーンスカヤ
マチルダ・クシェシーンスカヤ
◆20世紀初頭:ロシア・バレエの改革◆
フォーキン
ロシア・バレエを語るとき、ミハイル・フォーキン(1880-1924)なしでは語れません。フォーキンは優れた教師、プティパ、イワノフ、レガット、イオガンソン、チェケッティにバレエを習い、在学中から多くの才能を発揮しました。有名なダンサーでもあり、またバレエの振付家として歴史に名を残しています。
フォーキンにとってバレエは単なる舞踊ではなく、人間の情熱の深さを考えさせる芸術でした。「バレエのフォームにおける真の基礎は自然な動きにある」という信念のもと、ロシア・バレエの改革ともいえる教育を実践し、学校にも大きな功績を残しました。
同時代の作曲家や画家たちとの共同で多くのバレエを振付(「瀕死の白鳥」、「ぺトリューシカ」、「火の鳥」、「シェヘラザード」など)、セルゲイ・ディアギレフと共にパリでの「バレエ・リュス」の公演を行い、フォーキンの才能は開花しました。フォーキン振付のバレエの成功は、若い天才バレリーナやダンサー(ニジンスキー、カルサヴィナ、パブロワ)たちによって、より大きな成功を収めました。
ミハイル・フォーキン
アンナ・パブロワとヴァーツラフ・ニジンスキー
パブロワ
アンナ・パブロワ(1881-1931)はバレリーナとしての成功の理由について聞かれたときに、以下のように答えています。
「作曲家が音楽で伝えようとしたこと、画家が筆で描くこと、俳優が言葉で伝えることを私は体と心で伝えようとしている。私の踊りは人生そのものである。踊り手が表現できない感情はありません。」
パブロワはマリインスキー劇場で踊った後、外国公演をスタートさせました。世界中を回り、年間200回踊ることもあり、ロシア・バレエの象徴的な存在となりました。
ニジンスキー
ヴァーツラフ・ニジンスキー(1890-1950)は偉大なる踊り手、アーティストでした。彼はまるで空中に浮かぶようなジャンプ力や舞台で役として生きる才能を持っていました。優れたテクニックと素晴らしい表現力とマイムを利用してニジンスキーは男性舞踊を復活させました。ニジンスキーの芸術の最頂点は「ペトリューシカ」と「バラの精」でした。
カルサヴィナ
タマーラ・カルサヴィナ(1885-1978)の才能は幼い頃から開花しました。彼女の踊りは特に柔らかくて、表現力と女性らしさによって観客を魅了し、観客に忘れがたい印象を与えました。革命を機にイギリスに亡命し、ロンドンで活躍し、バレエの教授法を教え、同国におけるバレエの発展に貢献しました。また、彼女が中心ダンサーとして活躍した「バレエ・リュス」のパリ公演の成功は、ロシア・バレエの権威を高めました。
バランシン
1921年にサンクトペテルブルクのバレエ学校を卒業したゲオルギー・バランチヴァーゼはアメリカにロシア・バレエの伝統を伝えました。ジョージ・バランシン(1904-1983)の名前で偉大なるバレエ・マスターになった彼は、ニューヨークのバレエ学校とバレエ団の指導者として歴史に名を残しました。
タマーラ・カルサヴィナ
アグリッピナ・ワガノワ
そしてワガノワ
1917年、革命後の困難な時代(国内戦争、経済崩壊、飢餓、大勢のバレエ・ダンサーや教師のヨーロッパ亡命)の出来事はバレエ学校に深刻な影響を与えましたが、幸いにも学校の存続そのものを揺るがすことはありませんでした。ソ連時代のバレエ学校(当時レニングラードバレエ専門学校)の発展に大きな役割を果たしたのは、アグリッピナ・ワガノワ(1879-1951)でした。
彼女は1916年にバレリーナとしてのキャリアを終えた後、1922年からバレエ学校で教師として活躍しました。先駆者の経験を土台とし、自身のバレリーナとしての経験や研究を加えた結果、クラシック・バレエの教育原則をシステム化し、「クラシック・バレエの基礎」(1934年)を出版しました。そして1920年から1951年までの間に、マリーナ・セミョーノワ、ガリーナ・ウラーノワ、タチアーナ・ヴェチェースロワ、フェーヤ・バラービナ、ナタリア・ドゥジンスカヤ、オリガ・イオルダン、アラ・シェーレストという20世紀のスターたちを育てたのです。
1957年、学校は彼女の功績を称え、その名を学校の名称に掲げました。その後、このバレエ学校がワガノワの名前を持つようになり、その名前を受けたメソッドは世界中のバレエ教育の基礎となりました。
この伝統が、そのまま偉大なる振付家ワシリー・ワイノーネン、ロスチスラフ・ザハーロフ、レオニード・ヤコブソン、ユーリー・グリゴロヴィッチといった卒業生にも受け継がれていきました。また、ワガノワと肩を並べて男性クラスを教えたのは優れた教師、ヴラジーミル・ポノマリョーフでした。彼の指導の元、学校を卒業したのはプリミエ・ダンサー、アレクセイ・エルモラーエフ、コンスタンチン・セルゲーエフ、ワフタング・チャブキアーニ、ニコライ・ズブコフスキー、セミョン・カプランでした。
戦後、多くの天才バレリーナやダンサーが育っていきました。ワガノワ自身の弟子、オリガ・モイセーエワ、ニネリ・クロガプキナ、イリーナ・ゲンスレル、アラ・オシペンコ、イリーナ・コルパコーワ、ボリス・ブレグワゼなどです。1950~70年代には世界的なスターになったルドルフ・ヌレエフ、ユーリ・ソロヴィヨフ、ナタリア・マカロワ、ミハイル・バリシニコフ、ガリーナ・メゼンツェワ、アルティナイ・アスィルムラートワ、ファルフ・ルジマートフも、このワガノワ・バレエ学校(ワガノワ・バレエ・アカデミー)を巣立っていきました。
『旧舞台芸術学校(ワガノワ・バレエ・アカデミー)の建物には創造の精神と天才の影が舞っている』
学校は踊り手だけではなく、優れたバレエ・マスター(バレエ教師)の誕生にも役割を果たしています。戦後はバレエ・マスターの協力によって、彼らの振付による“ワガノワ・バレエ・アカデミー オリジナル・バレエ”も上演されています。
現在のワガノワ・バレエ・アカデミー(ロッシ通り)
バレエ学校の生徒にとって、プロの踊り手と共に、舞台で踊ることは必要不可欠なことです。マリインスキー劇場は長年に渡り、築き上げられた伝統を守り、学校のパートナーになっています。毎年マリインスキー劇場で行われる公演に子役で参加するのはバレエ教育プロセスの一環です。また毎年、年末年始の「くるみ割り人形」公演の出演は恒例となっています。またマリインスキー劇場のバレエ団員の95%はワガノワ卒業生であるということ、これは、学校とバレエ団の共存は比類のなき共存としてマリインスキーの素晴らしいコール・ド・バレエを生み出しました。
近年学校を卒業し、21世紀のスターとして世界的に輝いているのは、ウリアーナ・ロパートキナ、ディアナ・ヴィシニョーワ、エフゲーニヤ・オブラツォーワ、ヴィクトリア・テリョーシキナ、アリーナ・ソーモワ、アンドリアン・ファジェーエフ、イリヤ・クズネツォフ、ミハイル・ロブーヒン、ウラジーミル・シクリャローフなどです。
1991年に学校は現在のアカデミーという名前を受けて大学のステータスを持つようになりました。ワガノワ・バレエ・アカデミーはロシア連邦大統領直々にロシアの文化遺産として登録されています。
人間の歴史と共に生きるバレエは長い道を歩んできました。人間に喜びを与え、人間に踊りに挑戦する可能性を与えてくれます。芸術は時が経っても国境を越え、世界に羽ばたいていくでしょう。