THE STATE MOSCOW CHORUS ARTS ACADEMY IS SO AWESOME
『ロシア国立モスクワ合唱アカデミー』ってこんなにすごい!
ロシアの合唱芸術
ロシアと言えば、音楽、バレエなど芸術大国という言葉が思い浮かぶ。
タクシー運転手が「マリンスキー劇場の芸術監督は…」とか「ボリショイ劇場のダンサーは…」と劇場の噂話してしまうほど、ロシアでは芸術が生活に根付いている。ロシアのクラシック・バレエは有名だが、それ以上に古い歴史を持ち、有名なのが実は『合唱芸術(歌) 』である10世紀ロシア正教会の典礼に楽器使用を認めなかったことから、無伴奏(ア・カペラ)の合唱が基本となり発展してきた。19世紀にはチャイコフスキーやラフマニノフなどもロシア聖歌を作曲したが、1917年のロシア革命により宗教音楽の道は閉ざされた。
そんな中、合唱芸術復活の役割を果たしたのが、『ロシア国立モスクワ合唱アカデミー』である。日本でも有名なスベシニコフにより1944年に設立され、現在も音楽界に大きな影響力を持っている。
ロシアにおける“専門アカデミー”とは?
ロシアでは日本における一般的な小学校、中学校、高等学校とは別に、専門アカデミーというものがある。この専門アカデミーとは、バレエ(ワガノワやボリショイが有名)や合唱、器楽など一般教育と共にその専門教育を子どもの頃より受けることのできる国立学校である。(授業料無料)
ロシア各地には子どものための芸術サークルが多数あり、才能のある子どもは地域から推薦され、ロシア全土から集まってくる。これは家庭の経済力に関係なく、優れた才能を開花させることができるということで、これまで多くの優秀な芸術家が育ってきたひとつの要因ともいえる。また音楽全般ではなく“合唱”に特化した国立の専門アカデミーという存在が、いかにロシアが歌、合唱を重視しているかを示している。(世界的にもめずらしく、このような声楽のエリートを育成する国立の専門学校はほとんど存在しないといわれる)
ボーカデミアへの期待
その合唱の教育機関の頂点に立つこのアカデミーもいわゆる合唱団のみならず、近年ヨーロッパで注目されている少人数のア・カペラグループを2003年に設立。2014年に初来日を果たした。予想通り、実力に裏打ちされた、ア・カペラを歌うにふさわしいグループ。一人一人がソリストでもあり、アンサンブルを担う素晴らしい調和。加えて合唱団とはちがい、洗練されたユーモアや演技、新しい楽しさが加わり、大好評を得た。2015年の公演を経て、今回2017年3度目の来日に期待が寄せられている。
ロシア国立モスクワ・アカデミー合唱団
「ロシア国立モスクワ・アカデミー合唱団」は、かつて日本にロシア・ブームを巻き起こしたロシアの重鎮、アレクサンドル・スベシニコフによって設立された“モスクワ合唱アカデミー”の精鋭による合唱団である。この“モスクワ合唱アカデミー”は、小中高(11年間)短大(2年間)大学院(4年間)で構成された国立の音楽専門教育機関であり、音感、リズム感、声の美しさなど厳しい審査に合格したもののみが、入学を認められる。 1993年以降、短大、大学院のみ女性の入学が認められるようになった。小中高生が少年のみとなっている理由は、ロシアの伝統的合唱スタイル(男声のみのパートでア・カペラ)をこのアカデミーの基本方針にしているからである。
このアカデミーは、数多くの有数な音楽家を輩出し、ロシアの合唱界の中でも現在なお重要な位置を占めている。当初この合唱団は少年のみ。その後青年も加わり、近年では上演するプログラムにより、女声パートも加わり、さらにレパートリーは広がっている。ロシア国内の公演はもちろん海外公演も多く、ドイツをはじめとしたヨーロッパの国々には毎年招かれている。レコーディングも活発に行い、これまでに日本のレーベルを含む数多くのCDをリリースしている。
1993年初来日。以来数多く来日し、美しいハーモニーと重厚な響きで聴衆を魅了し続けている。